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金子とピチ子と、金次郎の恋路。

17時半すぎ。

2Fのレストランからい~い香りが1Fまで漂ってきます。

この時間になるとお肉の焼ける香りや

金目鯛を煮つけ始めた香りで

仕事どころではな(以下略)

その、罪な香りにくすぐられ

山中の空腹のお腹はぐうぐうと合唱がおさまりません。

「ちょ、ちょっとレストラン行ってくる!」

と言い残し2Fへたたたたたた

あっ みんないる

そう、レストランOPENの18時にむけ、準備を整えたみんなが

今日のお客様情報や こんなふうにやっていくぞ、という内容を

ミーティングしております。

手前には・・・

・・・ごくっ

じぃ。(しばし見つめる)

お客様がいらっしゃるのを今か今かと待ちわびている金目さん。

「みんな、山中きたぞ」

「死んだふりしろ」

「つままれるぞ!」

・・・という金目さんの声が聞こえてきます。

いなとり荘の金目さん、しゃべるんです。

ここ数年 山中は金目さんを見つめすぎて

とうとう会話ができるようになってしまいました。

「最近 気温があがって煮込まれるときオレちょっとあついんだよなー」

そうつぶやく、このお鍋の中ではリーダー格の 金次郎。

するとおっかさん格の金子が同調します。

「わかるー。早くお鍋から出てお客様の前に出たいわねぇ」

「そうそう、早くお皿にのっかってレストランの気持ちいい空気、

あびたいわあ。」

もう近所で井戸端会議するおばちゃまさながら

あーでもないこーでもないと盛り上がる金子に参戦する古株のピチ子。

ピチ子 「あっそうそう金子、今日の613号室の佐藤さんのご主人、みた?」

金子「え?今日はさいとう調理長に最近煮汁が美味しくなったんじゃないのって

 いろいろ聞いてたからお客さんチェック、まだしてないのよー」

ピチ子「バカねぇ!今日の613号室の佐藤さんのご主人、綾野剛似でめっちゃイケメンなのよ~

 あたしあの人の席にいきたいわぁ」

金子「ええっ!そうなの!?それ早く言っ・・・しっ!ゆうすけくんが見てる!死んだフリしてっ」

・・・・・・・しーーーん。

(小声で)

金子「ちょっと山中、ゆうすけくんが見てるじゃないの、なんとかしてちょうだいっ

  あたしたちが綾野剛似で、さ、佐藤様が調理長をっ、実はしゃべったり

 と、とにかく噂してるなんて調理長にばらされちゃったら

 クビになっちゃうじゃないの!」

ちょ、ちょっと落ち着いて金子!

ピチ子「そうよそうよ!ゆうすけくんったらフロントはやるし、夜はお料理も出すし

しかも清掃リーダーで さらには夏になるとちびっこアドベンチャーで子供たちのヒーローなのよ!

そんなデキる子に知られたら私達クビよっ」

金子&ピチ子「ずっとここで働きたいからーー(涙涙)おおーーん、おおーーん」

わ、わかったよわかった、あなたたちが毎日いろんな事しゃべるってばれないようにするから。

ねっ?

あっ

井ノ上ゆうすけくんがこっち見てる。

しかしいい笑顔だなぁ。

カメラをかまえてみた。

ぱしゃっ

このあいだ新しく仲間になってくれた しのざきくん(左)ともう仲良しになっている

井ノ上ゆうすけくん。(右)

いつも優しくてがんばりやだもんなあ。

金子とピチ子が焦っていることも知らず、これからお客様を迎えるぞと

まっすぐな笑顔です。

大丈夫、あなたたちの事は黙っておくから。

金子「ほ、ほんとかぁ よがった、よがったなぁピチごぉ」

ピチ子「ちょ、ちょっとあなた焦りすぎて方言でちゃってるわよ!」

そう、ふたり(2匹?)は東北からここ稲取の海にあこがれて

上京、もとい上稲してがんばっているのでした。

あっもうOPENだから、しーっ

しーーーーーん。

「それでは、レストランOPENしまーーす!!」

さあ、ドアが開きました。

がんばれゆうすけ!がんばれしのざきくんとみんな!

そしてがんばれ金子とピチ子!佐藤さんのご主人に当たるといいね。

みなさん、いなとり荘でおいし~く煮込まれた味わい深い金目鯛

ぜひ召しあがって下さいね♪

・・・・・ところで。ふたりの会話をじっと見守りながら聞いていた金次郎。

彼が密かにピチ子に思いを寄せており、綾野剛に嫉妬している事は

山中以外まだ誰も知らないのでした。

どうか金次郎が佐藤さんのご主人のテーブルに当たりませんように。

さあレストランOPENですっ

つづく

影のキューピッド へっぽこやまなかあや

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